『ルリユールおじさん』 いせひでこ文・絵

●パリに住むソフィーは本が大好き。繰り返し読んでいるうちに、大事な植物の本がバラバラになってしまいます。本を直してくれる人を求めて、街に出るソフィー。そこでルリユールという職人の存在を教えてもらうのですが、どこに行けばいいのかわかりません……。

 

 “旅する画家”として知られている著者。これまで発表してきた絵本はすべて取材をして事実を拾い上げ、それを作品に昇華させて作り上げてきたものです。この作品も同様で、’04年に彼女がパリを旅行していて、たまたま路地裏に”ルリユール“という看板を見つけのがきっかけで生まれました。

 ルリユールとはヨーロッパ独特の伝統的な製本職人のこと。偶然、いせさんが出会ったルリユールは、フランスでも数名しか残っていない、最後のアルチザン(手職人)だったとか。

 本書の言葉のはしばしから、そして絵の隅々から、埃まみれの工房で、生涯、本を作り続ける無名の職人の強い矜持が伝わり、思わず目頭が熱くなります。こうやって丁寧に人のぬくもりを込められながら作られる、それが本なのです。これは昔も今も変わりません。いせさんは私の取材で、

「出会いで旅も人生も大きく変わります。出会うのは人の場合もあれば本の場合もあるけれど、それで新たな絆が生まれ、気がついたら何か温かいものが自分の中にもたまっているんです。絵本とは空気や温度、光の質などを丁寧に描き、その温かい何かをすくい上げるものだと思います」とおっしゃっておられました。

 本を慈しむ喜び。仕事への誇り。偶然の出会いへの感謝。

何度読んでも新しい発見のある、すてきな一冊です。

(『女性自身』2011年6月28日号掲載分より紹介)

 

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    加藤正男 (水曜日, 11 7月 2012 10:36)

    買って読みました。

子どもも若者も犬も、みんな毎日幸せに眠れますように
子どもも若者も犬も、みんな毎日幸せに眠れますように
楽しい経験と記憶をたくさん積もう!
楽しい経験と記憶をたくさん積もう!